価値創造と持続的成長に向けて

大成建設グループの価値創造ストーリー

大成建設グループは、グループ理念「人がいきいきとする環境を創造する」のもと、人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに取り組んでいます。
事業活動を通じて良質な社会資本をつくり出し、お客様と社会の課題解決に貢献することにより、企業価値と社会価値の向上の循環を実現し、社会とともに持続的に成長することを目指します。

大成建設グループの価値創造ストーリー

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中長期的に目指す姿 【TAISEI VISION 2030】

2021年に、グループ理念及び大成スピリットに基づいて、中長期的に目指す姿【TAISEI VISION 2030】を策定しました。人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献することを使命に、事業活動を通じてお客様と社会の課題解決に貢献し、社会とともに持続的に成長するための取り組みを進めています。
目指す姿の策定にあたっては、中長期の外部環境・構造変化を3つのX(IX:インダストリートランス・フォーメーション、SX:サステナビリティ・トランスフォーメーション、DX:デジタル・トランスフォーメーション)として特定し、これらが絡み合いながら変革の大きなうねりになると想定しました。
その中で、市場において他社との差別化を図り当社グループの持続的成長につなげ、目指す姿を達成するために注力する5つの分野(Construction:建設、Development:開発、Engineering:エンジニアリング、Energy:エネルギー、Environment:環境)を特定し、「進化し続けるThe CDE3カンパニー」と表し、2030年度における業績数値イメージをグループ売上高2.5兆円程度、グループ純利益1,500億円程度、ROE10%程度と設定するとともに、ステークホルダー(株主、社員、顧客、サプライヤー、社会)への還元に関する目標も定めました。
そして、その実現に向けて足元の3年間(2021~2023年度)において、重点的に取り組むべき課題をバックキャストして「中期経営計画(2021-2023)」に整理し、各施策に取り組んでいます。

企業価値向上に向けたビジネスモデル

当社グループの企業価値向上と持続的成長を図り、【TAISEI VISION 2030】を実現するため、「CDE3」それぞれの分野で事業活動を通じて良質な社会資本をつくり出し、お客様と社会の課題解決に貢献していきます。
中核となる建設事業については、長期的な国内マーケット縮小が懸念されるものの、当面は60兆円程度を維持すると想定しており、その中で他社との差別化を図り競争優位性を確立するために、受注競争力向上のための体制整備、潜在的な需要が大きいリニューアル分野の拡大、デジタル技術の活用や業務の集約化による生産性向上などに重点的に取り組んでいます。また、建設市場は他産業に比べて当社グループを含む大手各社のマーケットシェアが小さいという特徴があり、国内建設事業においても拡大の余地があることから、M&Aの活用による事業領域の拡大にも積極的に取り組んでいます。
開発事業については、不動産市況に大きな変化はみられないものの、先行きの不透明感は強く慎重な判断が必要な状態が続くものと想定し、不動産ポートフォリオの最適化と投資効率の追求による安定的な収益基盤を構築することを重点課題としています。
エンジニアリング事業については、当社グループがターゲットとする医薬品、食品、物流、エネルギー関連の設備投資は概ね堅調に推移するものと見ており、医薬品分野や食品分野等で培った強みを活かした事業領域の拡大を重点課題として、従来分野の深耕と成長分野への挑戦に向けた体制整備を進めています。
エネルギー・環境については、環境分野のフロントランナーを目指して、当社グループの電力消費量を賄うことを目的とした再生可能エネルギー電源の保有、及び競争優位確保のためのZEB性能の向上などに注力しています。今後、この分野における社会からの要請が加速していくと予想されることから、2022年4月にサステナビリティ総本部を新設し体制を整備するとともに、環境関連の技術開発や投資を継続的に実施しております。

競争優位の源泉となる無形資産

当社グループの競争優位の源泉となる最も重要な無形資産は「人材」と「技術」であると認識しており、目指す姿である【TAISEI VISION 2030】の基本姿勢として、『「人」と「技術」と「情報」の最適活用』を掲げています。
人材については、「企業価値の創造と持続的成長に資する人事政策」を基本方針とし、「働きがい」「働きやすさ」を重視した職場環境を実現するための諸施策、及び明るく、熱意と誠意、企業人としての規律を持ったプロフェッショナル人材を育成するための取り組みを進めています。
特に、【TAISEI VISION 2030】の実現のためには、当社グループの全役職員が高いエンゲージメントを持つことが最も重要であると考え、中長期の人事課題を洗い出し、目指す組織像と目指す人材像の実現のための施策を「TAISEI VISION 2030人事政策」として整理し、人事制度改革や人材育成に注力しています。
また、2022年度より役職員のエンゲージメント調査を実施しており、調査結果から課題を分析して、改善のための施策を順次実施しています。2023年度以降はエンゲージメント調査の実施回数を年2回に増やし、その改善状況について定期的に観測しながら様々な経営施策に反映させ、役職員のエンゲージメント向上に努めてまいります。

技術については、中期経営計画(2021-2023)における重点課題の一つに、「オープンイノベーションの活用を通じて、環境・社会課題の解決に向けた技術開発を推進する」ことを定め、「経済と環境の好循環により成長が期待される産業分野に貢献する技術開発」及び「競争優位性のある技術開発」を重点施策として、経営資源を戦略的に投入しています。中期経営計画(2021-2023)に基づく技術開発投資は、「当社グループが保有する施設のリニューアルZEB化、グループ次世代研究施設の新設、洋上風力発電関連の施工技術開発等新たな事業分野に対応するための投資」及び「施工の自動化・省力化技術の開発、BIM活用の促進等生産性向上に資する投資」など、2022年度までに約460億円を実行しています。

マテリアリティ(取り組むべき重要課題)・リスクと機会

【TAISEI VISION 2030】及び中期経営計画(2021-2023)の策定に合わせて、社会・ステークホルダーの関心や社会課題の重要性を認識するとともに、当社グループの理念や各種方針との整合性を整理し、経営への影響を評価の上、マテリアリティを特定しています。特定に際しては、SDGs、GRIスタンダード、国連グローバルコンパクト、ISO26000、SASBなどから抽出したサステナビリティ課題の中から、社内外の多様な意見を踏まえて素案を作成し、経営会議・CSR委員会(現サステナビリティ委員会)による議論を重ねて、取締役会で審議・決定しました。各マテリアリティに関するリスクと機会については、中期経営計画重点施策によりリスクを予防・低減するとともに事業機会につなげて、長期的かつ持続的な企業価値向上を図ってまいります。
なお、気候変動に関するリスクと機会に対する重点施策については、中期経営計画策定当初は「事業活動によるCO2排出量目標を「実質ゼロ」(カーボンニュートラル)へ(スコープ1・2)」としていましたが、2023年3月に環境方針等を改正して、2050年目標を「カーボンニュートラルの実現・深化」とし、スコープ1・2のCO2排出量ゼロ、及びスコープ3 サプライチェーンのCO2排出量ゼロを掲げ、取り組みを進めております。
なお、企業経営に重大な影響を及ぼす可能性があるリスクについては、経営会議および取締役会において対応方針を総合的に検討・決定して社内で共有のうえ、全社的に体系化されたリスクマネジメントシステムに沿って、リスクの予防及び顕在化した場合の影響の最小化に努めています。リスクの詳細については、有価証券報告書の「事業のリスク」に記載しております。

ステークホルダーとの関係

当社グループは、株主・投資家、お客様、地域社会、従業員、取引先、その他様々なステークホルダーに支えられていることを十分に認識した上で、自らが担う社会的な責任を果たし、価値創造に向けたステークホルダーとの協働に取り組んでいます。

特に、専門工事業者・サプライヤーなどの取引先については、お客様の期待と想像を超える仕事を成し遂げるための大切なパートナーであり、事業を通じて環境・人権などの社会課題を解決しながら共存共栄していく仲間であると考えています。
当社グループの事業活動に関連する人権や環境に対する負の影響を防止・軽減するために、人権方針に基づく人権デュー・ディリジェンス、及び環境方針に基づく環境デュー・ディリジェンスを実施しており、取引先と協働してサプライチェーン全体で人権課題・環境課題に対する取り組みを進め、継続的な改善に努めています。
また、大規模な災害や事故等が発生した場合に、社会経済活動の基盤を支える総合建設会社としての責務を果たすため、災害時における事業継続計画を定め、大規模災害対策訓練を毎年実施しています。この訓練には取引先も参加しており、災害発生時に連携して対応する体制を整えています。

中期経営計画(2021-2023)と数値目標・KPI

価値創造ストーリーの実行戦略である「中期経営計画(2021-2023)」は、中長期的に目指す姿である【TAISEI VISION 2030】「人々が豊かでレジリエントに暮らせる社会づくりに貢献する先駆的な企業グループ」を実現するためにバックキャストで施策を策定し、足元の事業環境も考慮しながら2023年までの3年間で集中的に取り組むことを重点課題として特定しています。
重点課題は、事業関連とサステナビリティ関連に分類しており、事業関連については、各々の分野のマーケットシナリオに基づいた重点施策を策定のうえ、数値目標を定めて実行しています。サステナビリティ関連については、マテリアリティに結びつけた重点施策を策定のうえ、KPIを設定しています。そのうちの環境面については、2050年のカーボンニュートラル実現を目指す「TAISEI Green Target 2050」のマイルストーンとなる2030年目標達成に向け、2023年度までに実施すべきCO2排出量削減率及びZEB化建物受注件数をKPIとして、取り組みを進めています。また、社会面については、様々なステークホルダーへの価値提供を念頭において、KPIを設定しています。
事業関連の数値目標およびサステナビリティ関連のKPIについては、定期的に経営会議で確認・審議のうえ、取締役会において進捗状況及び達成度のモニタリングを行い、達成に向けて必要に応じた対策を実施しています。
中期経営計画(2021-2023)における投資計画、技術開発、DX、人事政策等については、下記リンク先で詳細を説明しております。

取り組みを支えるガバナンス体制

当社グループは、企業としての持続的な発展を図り社会からの信頼を獲得するため、経営における意思決定の迅速性、適格性、公正性及び透明性を確保することをコーポレートガバナンスの基本的な考え方としています。
当社は、監査役会設置会社を選択しており、取締役会は、当社の持続的成長と中長期的な企業価値向上のため、①企業戦略等の大きな方向性を示すこと、②経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと、③独立した客観的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと、を主な役割・責務とし、監督機能に軸足を置いた体制としています。社内取締役8名、社外取締役4名の12名で構成しており、社外取締役は、自らの知見に基づいた客観的な視点に立ち、取締役会における審議に多様性をもたらすとともに、経営に対する監督機能の強化に貢献しています。
また、執行サイドの最上位決議機関として経営会議を設置しており、取締役会から権限移譲された業務執行案件について審議・決議を行っています。社長を議長とし、取締役会が選任する委員11名で構成されています。
価値創造ストーリーの実行戦略である「中期経営計画(2021-2023)」の実施状況および数値目標やKPIの達成状況については、定期的に経営会議で確認・審議のうえ、取締役会において進捗状況及び達成度のモニタリングを行い、達成に向けて必要に応じた対策を実施しています。また、取締役会においては、毎年、その実効性について分析・評価を実施して改善を図り、長期的かつ持続的に企業価値を高めるためのガバナンスの高度化につなげています。

投資家との対話・エンゲージメント

持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るために、株主・投資家との建設的な対話を推進するとともに、その前提となる適時適切な情報開示、及び価値創造ストーリーの全体像と各構成要素に関する明確な説明に努めています。
株主・投資家との対話については、「IR方針」に基づき、面談、IR説明会、株主総会等を通じて建設的な対話の促進を図っています。具体的には、半期毎の決算説明会、国内外の機関投資家等を対象とした個別ミーティング、海外IR等を実施しています。対応者については、投資家の要望を踏まえ、必要と認められる場合、経営陣のほか社外取締役・監査役も対話に臨むこととしています。また、株主の皆様に当社の企業活動についての理解を深めていただくために、株主通信「たいせいサークル」を発行し、注力事業やESGに関する取り組み等について報告しています。
社内においては、株主・投資家との対話・面談の内容等を記載した報告書を作成し、経営幹部に毎月報告するとともに、取締役会に対しては、より詳細なIR活動の実施状況を少なくとも年2回報告し、経営力の高度化につなげています。近年の対話で得られた示唆を基に、政策保有株式の削減目標を明確化しており、その進捗状況については、対話を通じて投資家へ説明するとともに、コーポレートガバナンス報告書や有価証券報告書等により開示してまいります。

以上

サステナビリティ

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