TCFD提言による情報開示

気候変動やそれに起因する⾃然災害等が頻発、かつ甚⼤化し、私たちの住まいや暮らしの安全・安⼼が脅威にさらされています。こうした変化は、京都議定書からパリ協定、SDGsの採択と続く脱炭素の⼤きな流れとなり、⽇本を含め世界中の国々の政策に⼤きく影響を及ぼすとともに、企業の果たす役割にも期待が⾼まっています。
⼤成建設グループは、気候変動による事業への影響を重要な経営課題の⼀つと捉え、2020年7⽉にTCFD 提⾔に賛同しました。2020年10⽉の政府のカーボンニュートラル宣⾔を受けて、2021年に長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」を⾒直し、2050年までに「事業活動によるCO2排出量実質ゼロ」を目指すことを目標に掲げています。また当社の削減努力に加え、バリューチェーンに働きかけ、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
更に、脱炭素社会の実現に資することを目的として2022年2月には、「TAISEI Green Target 2050」のマイルストーンとして、新たに2030年グループ環境目標を策定しました。今後も、TCFD提⾔に沿った情報開⽰を進めるとともに、気候変動の影響やCO2排出削減に向けた国の施策や社会の動向を注視し、適切に対応しながら、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を⽬指していきます。

ガバナンス

気候変動に関する議案を審議する会議体として、「サステナビリティ委員会」と「環境委員会」を設置しており、それらの会議体の審議を経て取締役会で審議・決定されています。
ESG全般に関する重要な⽅針や施策は、取締役会委員会である「サステナビリティ委員会」で、環境経営に関する基本⽅針や中⻑期⽬標の策定は、経営会議の諮問機関である「環境委員会」で審議されています。
取締役会で審議・決定された議案は、経営会議から当社の各事業部⾨及びグループ各社に伝達され、それぞれの経営計画・事業運営に反映されています。また、その内容は建設作業所における具体的な実施事項に織り込まれ、取引先にも協⼒を要請することになります。

気候関連ガバナンス体制図

気候関連ガバナンス体制図

戦略

中⻑期的なリスクとして下記に代表される様々なリスクを認識していますが、その⼀つである「気候変動」についてシナリオ分析を⾏いました。
気候変動に伴うリスクと機会には、気温上昇を最低限に抑えるための規制の強化や市場の変化といった「移⾏」に起因するものと、気温上昇の結果⽣じる急性的な異常気象といった「物理的変化」に起因するものが考えられます。
気候変動に柔軟に対応した事業戦略を⽴案するため、複数のシナリオを⽤いて事業への影響評価を⾏っています。シナリオ分析にあたっては、「移⾏」が進むシナリオとして国際エネルギー機関(IEA)の「持続可能な発展シナリオ(SDS)」、「物理的変化」が進むシナリオとして国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「代表的濃度経路シナリオ(RCP)」等を参照し、事業戦略の妥当性を検証しています。

気候変動

気候変動に関する主なリスクと機会

分類 リスク/機会 内容 影響度
移行 炭素価格導入、CO2排出規制強化による市場縮小と
建設コスト増加
リスク
  • 炭素価格導入、CO2排出規制強化による民間建設投資、設備投資減少
  • 建材や電力料金の高騰による建設コスト増加
  • 事業活動で発生するCO2に対する炭素価格適用によるコスト増加
リニューアル需要の増加 機会
  • 既存施設のエネルギー効率向上に向けたリニューアル需要増加
省エネ・再エネ関連需要の増加 機会
  • ZEB、スマートシティ関連の需要増加
  • 洋上風力等の再生可能エネルギー関連工事の需要拡大
物理的 夏季の平均気温上昇 リスク
  • 建設技能労働者の健康被害(熱中症等)の増加や酷暑時間帯回避による生産性低下
  • 労働環境悪化から建設業入職者が減少し担い手不足が更に加速
自然災害の甚大化・頻発化 リスク
  • 建設作業所等の被災による作業停止、工程遅延、人件費・仮設費の増加
リスク
  • 取引先の被災による調達コストの増加や工程遅延
機会
  • 災害激甚化に備えた設備・インフラの強靭化需要増加
機会
  • 災害が危惧される地域からの移転需要の拡大による新設・移設工事の増加
海面上昇 機会
  • 浸水リスク地域の強靭化設備投資、浸水リスク地域からの移転需要増加

※ 想定される事業への影響度を「大」「中」「小」でカテゴリ分け

気候変動への対応策

シナリオ分析の結果、抽出されたリスクと機会に対し、必要な対応策を中期経営計画(2021-2023)に反映するとともに、各事業部門の事業運営に落とし込み、気候変動に伴うリスクの軽減と機会の拡大を図ります。

炭素価格導入や法規制強化に伴う、市場の縮小と建設コストの増加への対応
  • 当社グループの電力消費量を賄うことを目的とする再生可能エネルギー電源の保有
  • 建設作業所での燃料改善策(バイオディーゼル燃料・燃料添加剤)の検討と導入
  • カーボンリサイクル・コンクリートの開発・利用など、グリーン調達の拡大
リニューアル、
省エネ・再エネ関連需要増加への対応
  • リニューアル専門組織の設置・風力発電関連工事への対応組織の拡充
  • 次世代高機能ZEBの開発・実用化とエネルギーサポートサービスの展開
  • 経済と環境の好循環により成長が期待される産業に貢献する技術開発
異常気象による建設作業所の
生産性低下への対応
  • ウェルネス作業所の全国推進による健康被害の低減や酷暑時間帯の作業環境整備
  • 作業所業務の一部をデジタルプロダクトセンター等の専門組織に集約化
  • 無人化施工技術、ロボット施工技術等の開発・展開等により作業所の生産プロセスを変革
異常気象と
災害の激甚化、頻発化、海面上昇への対応
  • 国土強靭化に向けたインフラ整備技術の開発と提案力の向上
  • 豪雨等のリアルタイム浸水危険予測シミュレーション等の開発
  • 発注者や取引先と一体となったBCP 体制構築と定期訓練実施により事業継続体制を確保

リスク管理

  • 気候変動リスクについては、全社横断的なTCFDワーキンググループ(TCFD WG)を設け、各部⾨の事業に関する気候変動リスクの洗い出し及び事業への影響度の分析を⾏うとともに、気候変動以外のリスクとの相対評価を実施し、必要な対策を講じていることを確認しています。TCFD WGで分析されたリスクはサステナビリティ委員会で審議され取締役会に報告されます。
  • また、国際規格 ISO14001に基づいた環境マネジメントシステム(EMS)において評価・特定されているリスクとも整合しています。

指標と目標

  • 2050年度の長期環境⽬標「TAISEI Green Target 2050」で「事業活動によるCO2排出量実質ゼロ」を掲げています。また、マテリアリティ(取り組むべき重要課題)の⼀つとして「持続可能な環境配慮型社会の実現」を掲げ、CO2排出量削減率を指標とした、2023年度のKPIを設定しています。
  • 中期経営計画(2021-2023)における重点施策の実施などを通じてCO2排出量削減を⽬指しています。
  • 今後、段階的にシナリオ分析を実施し、潜在的リスクの把握に努めながら、業務戦略を策定・遂行していきます。併せてグリーンボンドの発行を通じて、グリーンプロジェクトを積極的に推進していきます。
各年度を到達点とするCO2排出量削減目標 2023年度 2030年度 2050年度
KPI TAISEI Green Target 2050
スコープ1+2 売上高あたりのCO2排出量削減率*1(グループ) ▲15% ▲50% 事業活動によるCO2排出量実質ゼロを目指す
スコープ1+2 総CO2排出量削減率*1(グループ) ▲6% ▲40%
施工段階 売上高あたりCO2排出量削減率*2(単体) ▲41% ▲64%
施工段階 総CO2排出量削減率*2
(単体)
▲46% ▲66%
運用段階 予測CO2排出量削減率*2
(単体)
▲43% ▲59% 当社削減努力に加え、バリューチェーンに働きかけ、脱炭素社会を目指す
  • *12019年度比
  • *21990年度比

サステナビリティ

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