労働安全衛生管理の徹底

労働安全衛生管理の徹底

方針・基本的な考え方

大成建設グループは、グループ行動指針で、安全で衛生的な職場環境を維持し、労働災害の防止に努めること、特に、工事の施工にあたっては、法令、社内基準、安全計画等を遵守し、工事関係者の安全を確保するとともに、第三者災害の防止等、地域社会の安全の確保を最優先に考えて行動することを定め、グループ役職員による遵守と徹底を図っています。
また、中期経営計画(2021-2023)においては、サステナビリティ関連の重点課題として「死亡災害ゼロ、重大事故ゼロを達成する」を掲げ、安全衛生方針に、体系的・組織的に実施する労働安全衛生マネジメントシステム(TAISEI OHSMS)を安全衛生管理の基本とすることを定め、グループ役職員および専門工事業者が協働して達成に向けた取り組みを実施しています。
更に、ICT・AI技術の活用による安全管理・監視システム等の開発・導入を積極的に推進し、「責任と権限」を明確にした安全衛生管理体制の構築に専門工事業者とともに取り組み、働く人々が安心できる安全衛生環境の向上と整備に努め、地域社会からも信頼と共感をもって受け入れられる企業を目指しています。
なお、契約者である取引先(専門工事業者等)の従業員の健康と安全を重要な人権課題のひとつと捉え、人権方針において、取引先の労働安全衛生に配慮すること、長時間労働を改善すること、および低賃金労働を防止し生活賃金に配慮するなど適正な労働条件の整備に努めることを定めています。

リスクと機会

国内での少子高齢化による労働人口の減少に伴い、建設作業所で働く人々の高齢化が進み外国人労働者が増加していく中、安全衛生管理体制の構築は、ますます重要度を増しています。また、気候変動による自然災害の増加、猛暑の常態化などは、労働災害のリスクにつながる可能性がある一方で、危険作業のロボット化やデジタル技術の活用による作業の省力化など、建設作業所の安全・安心の確保に寄与する技術開発が当社グループの競争優位性の確保につながります。

中期経営計画の単年度版として安全衛生管理方針書を毎年策定し、安全衛生管理の強化に取り組んでいます。
なお、サプライヤーに関しては大成建設グループ サステナブル調達ガイドラインを制定し、取引先にその遵守を要請するとともに、定期的なアンケートの実施により遵守状況の確認を行っています。

大成建設グループ サステナブル調達ガイドライン(抜粋)

  • 4.安全・衛生の推進: 安全で衛生的な職場環境を維持し、労働災害の防止に努める。
  • 4-1.従業員が心身ともに健康で安⼼して働けるよう、職務上の安全・衛⽣の確保と、メンタルヘルスケアに配慮した快適な職場環境を整備する。
  • 4-2.労働安全衛生マネジメントシステムに基づく適切な安全管理体制、災害防止活動により労働災害を防止する。
  • 4-3.地域社会の安全・衛⽣の確保を徹底し、第三者災害を防止する。

目標

マテリアリティのひとつである「労働安全衛生管理の徹底」のKPIとして、グループにおける2023年度目標「死亡災害0件」を掲げています。
また、労働安全衛生マネジメントシステム(TAISEI OHSMS)の基軸となる安全衛生管理方針書において、2023年の目標を「死亡災害ゼロ」「度数率0.40未満の達成」および「重大事故ゼロの達成」としています。安全衛生管理方針書の目標は毎年見直しを実施しており、役職員および契約者である取引先(専門工事業者等)に適用される安全衛生方針のもと、全ての工事関係者が技術と熱意を結集して、目標達成に向けた取り組みを推進しています。

KPI

実績

  • 2022年1~12月に発生した大成建設単体の休業災害は35件(2021年46件)、発生度数率は0.31(2021年0.44)、死亡災害0件でした。昨年に比べ労働延時間数が約10%増加しましたが、休業災害件数は前年より減少し、度数率が改善されました。
  • 2022年の災害を分析すると、休業災害では「機械関連」が最も多く、次いで「墜落」となっています。発生した災害について本質的な原因を徹底的に究明し、正しい改善と再発防止策を実施することで、類似の事故・災害の撲滅に取り組んでいます。
    リスクを低減するために、労働安全衛生管理システム(TAISEI OHSMS)に基づくリスクアセスメントを適切に実施するとともに、各種作業所パトロールや社員・作業員等の作業所関係者に対する安全衛生教育を徹底しています。
    2022年の現場作業にあたる社員に対する各種安全研修参加人数は、1,298名となりました。

イニシアチブ

  • 国連グローバル・コンパクト「人権」「労働」
  • ISO45001
  • 安全対策部会((一社)日本建設業連合会)
  • 労働委員会((一社)日本建設業連合会)

体制・システム

労働安全衛生管理システム(TAISEI OHSMS)

安全衛生方針に掲げる「安全第一主義」のもと、事故・災害の撲滅、第三者災害の防止、安全衛生水準の向上を目的として、「労働安全衛生マネジメントシステム(TAISEI OHSMS)」を専門工事業者と一体となって連続的かつ継続的に運用しています。
経営会議が委嘱する委員で構成する中央安全委員会(委員長:代表取締役)を設置し、安全管理・環境事故防止及び専門工事業者の安全・衛生・環境管理に関する事項を審議し、経営会議に付議、答申しています。また、拠点(支店)ごとの統括安全衛生管理者・従業員・労働組合で構成する支店安全委員会を開催し、定期的に労働組合との協議を実施しています。
労働安全衛生マネジメントシステム(TAISEI OHSMS)に基づく計画-実施-点検-改善(PDCA)のサイクルの一環として、工事入手時検討会後の施工・安全衛生計画書作成時、および重点危険作業に関する計画の支店による事前審査時などにリスクアセスメントを実施しています。加えて、着工後は作業を行う全拠点において本支店が実施する安全衛生環境パトロール等により、安全衛生計画の実施・運用状況の確認とリスク評価を実施し、必要に応じて改善・是正して、継続的に安全衛生水準の向上を図っています。

労働安全衛生マネジメントシステム(TAISEI OHSMS)概念図

*TAISEI OHSMSとはILOや厚生労働省のガイドラインを参考に策定した当社独自の労働安全衛生マネジメントシステムです。

取り組み

作業所パトロール

大成建設では、労働安全衛生マネジメントシステム(TAISEI OHSMS)による安全衛生管理の一環として、建設作業所のパトロールを実施しています。本支店の役職員によるパトロールや専門工事業者(協力会社)等の事業主や安全スタッフによるパトロールに加えて、社長自身によるパトロールも実施しています。
2022年度の全国安全週間においては、「安全第一主義」に対する会社トップの強い決意を社員および作業員の一人ひとりにまで浸透させるため、東京支店、名古屋支店、千葉支店、関東支店の作業所で社長パトロールを実施しました。巡視後、相川社長は、事業主、作業員及び社員を前に訓示を行い、各現場の状況に応じた安全管理の徹底を指示し、確実な安全のプロセスを積み重ねて、社員と作業員のリーダーである職長会がスクラムを組んで、安全管理を徹底することを要請しました。社長パトロールを実施することにより、トップ自らがその行動をもって安全に対する強い信念を全ての社員と専門工事業者(協力会社)等へ浸透させていくことを目指しています。

写真左から、南山造成作業所(東京支店)、浜松いわた信用金庫本部・本店新築工事作業所(名古屋支店)、南摩ダム本体建設工事作業所(関東支店)、千葉市新庁舎整備工事作業所(千葉支店)

専門工事業者(協力会社)の安全教育

大成建設は、支店ごとに専門工事業者(協力会社)で組織する支店安全衛生環境協力会、およびその全国組織である安全衛生環境協力会連合会と緊密に連携し、事故・災害の防止に努めています。
支店協力会会員は、毎年1月に開催する支店安全徹底大会、および毎年6月に開催する支店安全推進大会に参加し、社長メッセージをはじめとする安全衛生管理方針書の内容や、安全目標と重点実施事項の周知等を受け、全ての事故・災害の撲滅を目指して活動しています。

表彰制度

大成建設では、安全衛生の質の向上を図るため、社長顕彰のほか、社長賞(安全衛生分野)や社長表彰(安全功労章)、安全衛生環境協力会連合会会長表彰(特別表彰)などの表彰制度を設けています。また、厚生労働省では、毎年、全国安全週間(7月1日~7日)の時期に、安全衛生に関する水準が優秀で他の模範と認められる事業場や、長年にわたり地域、団体又は 関係事業場の安全衛生水準の向上発展に多大の貢献をした功績者などに対して、厚生労働大臣表彰を行っています。大成建設では下記作業所が表彰されています。

Award 厚生労働大臣表彰 奨励賞
(安全な職場環境の確保について優秀であるもの)受賞

大成建設・常磐開発特定建設工事共同企業体 いわき市立総合磐城共立病院 新病院建設事業
2013年9月以降2021年3月までの全工期において無災害を達成したこと、作業計画段階でリスクアセスメントを実施し、重篤な災害が発生する恐れのある作業については二重の安全対策を実施したこと、ICチップを活用した重機と作業員の接触防止対策、情報通信技術を活用した高水準な作業管理や工程管理による迅速な情報共有、VRを活用した危険体感教育などについて、活発に創意工夫して取り組んでいることなどが他の模範であると認められたものです。

データ

安全成績の推移

  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
参考)全産業度数率 1.83 1.80 1.95 2.09
参考)総合工事業度数率 1.09 1.69 1.30 1.39
度数率(グループ) 0.58 0.64 0.37 0.56 0.38
度数率(単体) 0.43 0.62 0.35 0.44 0.31
強度率 0.14 0.26 0.34 0.08 0.01
  • 度数率:100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数をもって、災害発生の頻度を表したもの
  • 強度率:1.000延実労働時間当たりの労働損失日数をもって、祭儀の程度を表したもの

従業員の安全教育

事故・災害の防止、安全衛生意識の向上、安全に関する法令などの理解を深めるため、社員研修に取り組んでいます。入社年次、職能等に応じて、業務上必要な知識習得のため、階層別の教育を行っています。
また、毎月「事故・災害報告書」をイントラネットで発信し、災害分析や災害事例やその防止策など情報共有しています。

2022年度

教育の種類 人数
本社内勤者送り出し教育 458名
基礎・中級・統括管理コース 599名
統責・統管・元管者研修 160名
作業所長研修 46名
新任パトロール者研修 35名
合計 1,298名
社会データ

サステナビリティ

PAGE TOP