持続可能な社会の実現に向けた技術開発

持続可能な社会の実現に向けた技術開発

方針・基本的な考え方

技術を価値創造の源泉とする大成建設グループにとって、事業の基盤といえるのが研究開発と知的財産活動です。大成建設グループでは、グループ行動指針の『価値創造への挑戦』で「技術・ノウハウを結集するとともに、技術革新と創意工夫により、新しい価値の創造に絶えず挑戦します」「時代の先を常に見据えて、自らの知識・能力の向上に努めます」とコミットしています。
当社グループでは、SDGs達成への貢献などを視野に研究開発のテーマを選択した上で、社長を委員長とする技術委員会のもと、成長が期待される産業分野に貢献する技術に重点をおき、技術開発を進めています。
また、グループ企業を含めた知的財産力の一層の向上を図るため、グループ行動指針の『社会的責任の遂行』に「情報・知的財産権の管理」を掲げるとともに、「知的財産に関する方針」を制定しています。知的財産の創造・保護・活用、知的財産に関するリスク軽減、ブランドの戦略的活用などの知的財産戦略を着実に実践しています。

リスクと機会

気候変動による自然災害の激甚化、日本における少子高齢化の進行と人口減少、世界的な人口増加と格差の広がり、パンデミックの発生など、ビジネス環境が急激に変化し、環境・人権などの社会的課題が山積する中、市場が顕在化していない領域に関する技術開発が課題の解決に進展する可能性があります。既成概念にとらわれないイノベーションの創出により社会的課題を解決することは、大成建設グループの新しい価値創造につながります。

ポリシー/コミットメント

  • グループ行動指針: 価値創造への挑戦、社会的責任の遂行
  • 知的財産に関する方針
  • 技術開発方針
  • 中期経営計画(2021-2023): オープンイノベーションの活用を通じて、環境・社会課題の解決に向けた技術開発を推進する

目標

KPI

特許出願件数

実績

  • 産業の発達に寄与するため、知的財産を重視した経営を推進し、特許権のほか、著作権や施工・業務上のノウハウなど知的財産全般について、戦略的な管理・活用を実行しています。
  • 知的財産戦略に基づき積極的な権利化・活用を行うことにより、当社の特許査定率は88.4%となっており、全業種特許査定率(特許行政年次報告書2021年版における過去3年間の平均値)74.9%に対して、高い数値となっています。
  • 新しい価値の知的財産化を図り、事業戦略、研究開発戦略、知的財産戦略との三位一体により新技術の開発や作業所の技術支援、知的財産の活用などを通じて社会に貢献していきます。

KPI

ZEB化建物受注件数

実績

  • 中期経営計画の重点課題にも、ZEB性能の向上を掲げており、今後の成長市場として期待できる分野として、ZEB/ZEFの進化・普及に全力で取り組んでいます。お客様に自然エネルギーなど脱炭素の取り組みについてご理解いただき、2021年度のZEB化建物受注件数は、6件となりました。

イニシアチブ

  • (一社)日本知的財産協会
  • 建築技術開発委員会((一社)日本建設業連合会)
  • 土木運営会議((一社)日本建設業連合会)

体制・システム

イノベーション・マネジメント

大成建設グループは、中期経営計画(2021-2023)のグループ基盤整備計画:技術開発において、「オープン・イノベーションの活用を通じて、環境・社会課題の解決に向けた技術開発を推進する」ことを重点課題として特定し、「経済と環境の好循環により成長が期待される産業分野に貢献する技術開発」及び「競争優位性のある技術開発」を目指し、経営資源を戦略的に投入しています。
具体的には「洋上風力産業」、「物流・人流・土木インフラ産業」、「カーボンリサイクル産業」、「住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業」、「ライフスタイル関連産業」、「水素産業」、「原子力産業」、「食料・農林水産業」、「資源循環関連産業」の各分野において新技術の開発や効率化、低コスト化を推進しています。
また、「大型プロジェクト対応の特殊技術」、「高付加価値化・高品質化に資する技術」の開発も進めています。

オープン・イノベーション:組織の枠組みを超え、広く知識・技術の結集を図る等のイノベーションの方法論。

知的財産戦略

大成建設は、「知的財産に関する方針」にのっとり知的財産戦略を着実に実践しています。知的財産を重視した経営を推進し、特許権のほか、著作権や施⼯・業務上のノウハウなど知的財産全般について、戦略的な管理・活用を実⾏し、管理については、特許を管理するデータベースの整備や、保有特許検索システムを構築し、業務効率の向上を図っています。
また、企業経営に重大な影響を与える権利の侵害や被侵害、技術流出等の知的財産リスクを、予防、軽減するために、あらゆるビジネスプロセスにおいてリスクマネジメントを徹底しており、「知的財産情報取扱規程」を制定し機密管理を徹底するとともに、技術部門や事業部門に対し、他社の特許情報を周知するなど、第三者の知的財産権を侵害するリスクの低減対策をとっています。

取り組み

研究開発活動事例

研究開発活動の実施に際して、技術ニーズの高度化・多様化に対応し、技術開発への投資効率を高めるべく、大学をはじめとした研究機関、異業種企業、同業他社などとの社外アライアンスやオープン・イノベーション活動を積極的に推進しました。

社会的課題の解決に貢献する特許

特許法の第一条(目的)には「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする」とあります。当社は、優位性を確保するだけではなく、本来の目的達成のため、知的財産を重視した経営を推進し、特許権のほか、著作権や施工・業務上のノウハウなど知的財産全般について、戦略的な管理・活用を実行しています。

また知的財産に関する制度設備や情報交換等をグループ全体で実施し、グループ全体としての知的財産力の向上を図るほか、競争力の強化と企業価値の向上を目的に、社員に当⽅針を周知徹底し、知的財産を戦略的に活用するための研修を毎年実施しています。2021年度は、グループ会社、⼤成建設の本社技術部門、⽀店現業部門に向けた知的財産講座や全役職員を対象としたeラーニングを行い、出願権利活用、侵害に係る⼀連の啓発活動を実施しました。

ZEB性能の向上に向けて

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、建築計画の工夫による日射遮蔽・自然エネルギーの利用、高断熱化、高効率化によって大幅な省エネルギーを実現した上で、太陽光発電等によってエネルギーを創り、年間に消費するエネルギー量が大幅に削減する最先端の建築物です。ZEBを実現・普及することにより、エネルギー需給構造を抜本的に改善することが期待されています。中期経営計画(2021-2023)の重点課題にも、ZEB性能の向上を掲げており、大成建設のZEBへの取り組みは、SDGs達成にもつながる取り組みとして位置づけられています。
特に近年では、ZEB及びZEF(net Zero Energy Factory)の展開、グリーン・リニューアルZEBの取り組みの推進、建物の調達段階・施工段階・運用段階のライフサイクル全体に渡って排出されるCO2をトータルの収支でゼロにする「T-ZCB(ゼロカーボンビル)」の推進(当社グループ施設において日本初の実証を目指す)等に注力しています。

大成建設のデジタルトランスフォーメーション

大成建設は、中期経営計画(2021-2023)において、「DXが競争力を左右する時代へ」との認識のもと、重点課題の一つとして「DXにより生産システムの変革と働き方改革を実現する」を掲げ、全社を挙げてDXに取り組んでいます。この活動が経済産業省の定める認定基準を満たしたことにより、DX認定を取得しました。
今後も引き続き、中長期的に目指す姿【TAISEI VISION 2030】「進化し続けるThe CDE3 カンパニー~人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献する先駆的な企業グループ」を目指し、活動を加速していきます。

データ

研究開発費の推移(連結)

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
研究開発費 116億円 124億円 135億円 142億円 151億円

社会データ

サステナビリティ

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