人権デュー・ディリジェンス

人権デュー・ディリジェンス

大成建設グループは、人権尊重の責任を果たし、事業活動による人権への負の影響を予防・軽減するために、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」や日本政府の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」等に基づき、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、継続的に実施しています。
運用にあたっては、適宜見直し・改善を図り、人権尊重のための取り組みの深化に努めていきます。

1

指導原則 16
人権尊重責任に関するコミットメント

人権の尊重に関するコミットメント

2

指導原則 18
人権への負の影響の特定・評価

企業が関与している、又は関与して得る人権への負の影響を特定し、評価する

3

指導原則 19
負の影響の防止・軽減

影響評価の結果を、全関連部門や全社的プロセスに組み入れ、
負の影響を予防し軽減するための適切な措置を取る

4

指導原則 20
取り組みの実効性の評価

取り組みの実効性を評価し、その結果に基づいて継続的な改善を進める

5

指導原則 21
説明・情報開示

人権デュー・ディリジェンスに関する基本的な情報および
負の影響への対処方法を説明・開示する

6

国連指導原則 22
救済

適切な手段により、その救済と是正に取り組む

人権尊重責任に関するコミットメント(国連指導原則16)

2015年に制定した人権方針を、取締役会で審議のうえ2022年4月に改定し、人権尊重の責任を果たすという当社グループの姿勢を社内外に明確にコミットしました。事業活動に関連して、人権への負の影響を生じさせないよう、自主的・積極的・能動的に企業としての責任を果たすことにより、包摂的な社会の実現に貢献することを人権尊重に対する基本姿勢としています。また、人権尊重の責任を果たすために、人権デュー・ディリジェンスに取り組むことを定めています。
この方針は、Webサイト等で開示しており、お客様や取引先を含むビジネスパートナーに対しても同方針の支持と人権の尊重を求めています。

人権への負の影響の特定・評価(国連指導原則18)

大成建設グループの全ての既存および新規事業における人権への負の影響を特定・評価するために、外部専門家である㈱SOMPOリスクマネジメントの指導・助言のもと、サステナブル調達協議会に人事部門・国際部門を加えたメンバーにより、人権に関する国際的ガイダンス(UNEP:国連環境計画・金融イニシアチブ Human Rights Guidance Tool)に基づき、産業全般に共通する人権への負の影響(人権リスク)と建設業および当社グループに特有の人権リスクを抽出しました。抽出した人権リスク(差別・ハラスメント、長時間労働、健康と安全、賄賂と腐敗、移民労働(外国人労働者)、児童労働、強制労働など)について、「人権への影響(深刻度、影響の受ける人数、救済可能性、発生可能性)」および「自社とのつながり」という2つの側面から定量的に分析・評価して、サステナビリティ委員会及び取締役会の審議を経て、「優先的に対応する人権課題」を特定しました。

人権リスクマップ

優先的に対応する人権課題

2023年3月1日現在

影響を被るグループ 優先課題
当社・グループ会社の従業員 長時間労働
差別・ハラスメント
健康と安全(健康・メンタル)
個人情報・プライバシー
顧客または顧客の従業員 個人情報・プライバシー
専門工事業者の労働者 健康と安全(労災事故)
労働条件(賃金、長時間労働)
差別・ハラスメント
移民労働(外国人労働者)
強制労働【海外】
児童労働【海外】
サプライヤーの労働者 労働条件(賃金、長時間労働)
移民労働(外国人労働者)
強制労働【海外】
児童労働【海外】
地域社会の住民 健康と安全(騒音・臭気等)
賄賂と腐敗
反社会的勢力との関係
紛争国における事業
国際基準とのギャップが大きい国における事業

負の影響の防止・軽減(国連指導原則19)

当社およびグループ会社の従業員に関する優先課題については、各課題を主管する本部が中心となり様々な対策を実施することによって予防・軽減を図っています。また、CSOを委員長とする人権啓発推進委員会による取り組みを通じて、人権尊重に関する役職員の理解を深めるよう努めています。
さらに、全役職員を対象とした人権に関するeラーニングを定期的に実施して、人権尊重意識の向上につなげています。2023年6月に実施したeラーニングでは、長時間労働、強制労働、児童労働、腐敗・贈収賄など国際的に認められた人権に関する取り組みが求められていること、外国人労働者など脆弱な立場に置かれ得るステークホルダーについて特に配慮が必要であること等を確認しました。受講率は96.0%でした。
サプライチェーンにおける優先課題については、サステナブル調達協議会における検討のもと予防・軽減策をサステナブル調達ガイドラインに反映し、サプライヤーと協働して予防・軽減に努めています。サプライヤーへの確実な浸透を図るために、安全徹底大会の場を利用した研修、サプライヤー向けのeラーニングの実施等の啓発活動を継続的に実施しています。
顧客・顧客の従業員、地域社会の住民に関する優先課題については、各課題を主管する本部が中心となり予防・軽減策を講じています。

取り組みの実効性の評価(国連指導原則20)

当社およびグループ会社の従業員に関する優先課題への取り組みについては、各種委員会によるモニタリング、全社リスクマネジメントに基づく確認・改善、アンケートやエンゲージメントサーベイなどにより、実効性を評価しています。

サプライチェーンにおける優先課題への取り組みについては、その実効性を評価するために、毎年サプライヤーによるセルフアセスメントを実施し、その結果に応じて、訪問監査や改善のための意見交換を行うこととしています。2022年度は1,590社(契約金額ベースのカバー率約79%)がセルフアセスメントを行い、そのうち20社を訪問して取り組み状況の確認と改善に向けた意見交換を実施しました。
また、建設業界においても顕著な人権問題である外国労働者への人権侵害の予防・軽減を図るために、上記のセルフアセスメントに加えて、外国人技能実習生を雇用している事業主に対する受け入れ状況の調査を行っています。
2022年度は251社の調査を実施し、そのうち16社について書面による再確認を行い、5社を訪問して取り組み状況の確認と意見交換を実施しました。さらに、外国人技能実習生5名に直接インタビューを行い、人権への負の影響が生じていないことを確認しました。

顧客・顧客の従業員、地域社会の住民に関する優先課題への取り組みについては、全社リスクマネジメント等により実効性を評価しています。

説明・情報開示(国連指導原則21)

人権デュー・ディリジェンスの実施状況については、経営会議・サステナビリティ委員会・取締役会へ定期的に報告するとともに、Webサイトや統合レポート等で適時適切に開示します。
2022年度においては、「専門工事業者の労働者」「サプライヤーの労働者」「地域社会」を対象として、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを開始し、サステナブル調達ガイドラインの浸透や専門工事業者・サプライヤーへの教育等により人権への負の影響の予防・軽減に努めました。
その実効性評価として、専門工事業者・サプライヤーについては、アンケート形式のセルフアセスメント、事業主ヒアリング、外国人技能実習生インタビュー、海外サプライヤー訪問調査等を実施した結果、調査した範囲内では直ちに対応が必要となる人権侵害は認められませんでした。また、地域社会について全社リスクマネジメント・システムにより確認したところ、人権への負の影響が大きな問題となった事例はありませんでした。
なお、2023年2月の取締役会において、人権デュー・ディリジェンスの対象に「当社・グループ会社の従業員」及び「顧客または顧客の従業員」を追加することを決定し、同年3月から前述の対象と合わせて、人権への負の影響の防止・軽減に取り組んでいます。

救済(国連指導原則22)

人権侵害に関する各種相談窓口を設け、外国人労働者を含む社内外の全てのステークホルダーからの相談に対応しています。万一、大成建設グループが人権への負の影響の原因となった、あるいは助長したことが判明した場合は、人権方針に則り、適切な手段により速やかにその救済と是正に取り組みます。

窓口一覧

名称 対象
人事相談窓口(人事制度・職場環境・人権・ハラスメント等) 当社役職員
EAP相談窓口(社外窓口含)(従業員・家族の心の健康等) 当社役職員・家族
人材いきいき推進室窓口(ダイバーシティ支援、育児介護、LGBTQ等) 当社役職員
LGBTQ外部相談窓口 当社役職員
本部・支店「ハラスメント相談窓口」(セクハラ・パワハラ等) 当社役職員
「カスタマーハラスメント」相談窓口 当社役職員
企業倫理ヘルプライン、グループヘルプライン
(コンプライアンス違反全般)
当社グループの役職員・退職者及び直接契約があるサプライヤー
公益通報窓口
(法令違反行為)
当社と直接の契約関係に基づき、
当社の事業に従事している事業者の労働者
お問い合わせ窓口 すべてのステークホルダー

ステークホルダーとの対話

人権尊重の取り組み推進のためにはステークホルダーとの対話が重要であるという認識から、ステークホルダーとの対話・協議を適宜実施するよう努めています。

  • 外部有識者・若林秀樹JANIC理事(写真左)と
    サステナビリティ経営推進本部長との対談
  • 取引先訪問、1次・2次サプライヤー
  • 外国人技能実習生のインタビュー

サステナビリティ

PAGE TOP