脱炭素社会

脱炭素社会の実現に向けて

方針・基本的な考え方

大成建設グループは、環境方針に掲げた「持続可能な環境配慮型社会の実現」のために、グループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」を策定し、脱炭素社会の実現に向けた責務、事業を通じた貢献、取り組みを定めています。基本的な考え方については、環境方針に記載しています。

責務

大成建設グループは、建設業を中核とした企業グループとして、事業活動が脱炭素社会への移行に及ぼす影響と脱炭素社会への移行から受ける影響を十分に認識し、事業活動および事業活動に関連するCO2排出量を2050年までに0(ゼロ)にすることを責務とします。

事業を通じた貢献

大成建設グループは、脱炭素社会の実現に向けた「リスクと機会」を的確に抽出し、省エネルギー、脱炭素建材、再生可能エネルギーなどに関連する技術・サービスの開発・普及および再生可能エネルギー電源の保有の推進により、「脱炭素社会」の実現に貢献します。

リスクと機会

気候変動に関するリスクと機会については、「TCFDに基づく情報開示」に記載しています。

「TCFDに基づく情報開示」

ポリシー/コミットメント

  • グループ行動指針:環境の保全と創造への取り組み
  • 環境方針
  • TAISEI Green Target 2050:脱炭素社会の実現
  • エコ・ファーストの約束
  • 大成建設グループ サステナブル調達ガイドライン
  • 大成建設グリーン調達ガイドライン
  • グリーン購入標準ガイドライン
  • 中期経営計画(2021-2023):環境分野のフロントランナーを目指して、カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速させる

目標

グループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」

カーボンニュートラルの実現・深化
  • スコープ1+2 CO2排出量0(ゼロ)
  • スコープ3 サプライチェーンCO2排出量0(ゼロ)

TAISEI Green Target 2050

2030年グループ環境目標

環境目標 売上高あたりの排出量 総排出量
スコープ1+2事業活動によるCO2排出量 ▲50% ▲40%
スコープ3事業活動によるCO2排出量 ▲32% ▲20%

*2019年度比

年度環境目標

ロードマップ

ロードマップ

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KPIs

KPIs

イニシアチブ

  • TCFD
  • SBT
  • GXリーグ基本構想(経済産業省)
  • 国連グローバル・コンパクト「環境」
  • チャレンジゼロ((一社)日本経済団体連合会)
  • 建設業の環境自主行動計画((一社)日本建設業連合会)

取り組み

CO2排出削減に向けた取り組み

事業活動によるCO2(スコープ1+2)

スコープ1は、主に建設工事で使用する重機の燃料、アスファルトを製造する合材工場やプレキャストコンクリートを製造するPC工場で使用する燃料に由来します。スコープ2は、本支店、営業所、工場や作業所で使用する電力や熱などに由来します。大成建設グループでは、スコープ1の削減に向けて、重機のハイブリッド化・電動化、代替燃料の使用などの取り組みを進めています。また、スコープ2の削減は再生可能エネルギー電源の保有に加えて、支店社屋及びプレキャストコンクリート工場のグリーン・リニューアル®ZEB化を進めています。

事業活動に関連するCO2(スコープ3)

スコープ3は、主に建設工事で使用する鋼材や生コンなどの資材が製造されるまでに排出されるCO2と、引渡後に建物が使用される際に排出されるCO2によるものです。大成建設グループでは、スコープ3のCO2排出量を削減するために、CO2負荷の少ない材料の選定(グリーン調達)を推進しています。また、独自技術であるCO2排出量を大幅に削減する環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」やCO2を固定化した木材を利用した木質化建築の技術開発と普及を推進しています。更に、引渡後に建物から排出されるCO2を削減するために、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のトップランナーとしてZEBの進化・普及に取り組むとともに、既存建物をリニューアルしてZEB化するグリーン・リニューアルZEBや建物の調達段階・施工段階・運用段階のライフサイクル全体にわたって排出されるCO2トータルの収支でゼロにする「T-ZCB(ゼロカーボンビル)」の推進にも取り組んでいます。

CO2削減貢献量

建設の各フェーズに対応した脱炭素技術

大成建設グループは、建設の様々なフェーズにおいて取り組みを行っています。低炭素材料の開発、施工段階におけるCO2削減の取り組みや建物運用時の省エネ、省CO2の技術・サービスの提供等により持続可能な脱炭素社会の実現に貢献しています。

建築物ライフサイクルのCO2ゼロを目指すT-ZCB(ゼロカーボンビル)

建築物のライフサイクルにおけるCO2排出量を実質ゼロにするゼロカーボンビルの建設を推進するため、初期計画段階で建築物のライフサイクルCO2排出量及びCO2削減技術の効果を可視化し、建築物の脱炭素化を体系的に評価するシステム「T-ZCB(ゼロカーボンビル)」を構築しました。
本システムの適用により、お客様のCO2排出量削減目標に沿った建設計画の立案を支援し、カーボンニュートラル社会の実現を目指します。
また、現在施工中の大成建設グループ次世代技術研究所の建設において、「T-ZCB」を適用し、その有効性を検証していきます。

T-ZCB(ゼロカーボンビル)
大成建設グループ次世代技術研究所
ゼロカーボンビルの実現に向けて、
グループ次世代 技術研究所の建設に着手

大成建設と大成ロテック㈱は、カーボンニュートラルの実現に貢献する様々な技術開発や実証試験などに取り組むため、埼玉県幸手市においてグループ次世代技術研究所の建設に着手しました。
2024年10月末までに各施設を完成させて順次運用を開始するとともに、新設の研究管理施設で国内初となる「ゼロカーボンビル」の実現を目指します。

T-LCA シミュレーター CO2

建築物の「調達、施工、運用、修繕、解体」を通したCO2排出量や削減効果を計画初期段階で見える化する建築物ライフサイクルCO2評価ツール「T-LCA シミュレーター CO2」を開発・活用しています。

Ⅰ. ゼロカーボン・デザイン
調達フェーズにおけるCO2削減:CO2を出さない材料の選定

CO2排出量を大幅削減する環境配慮コンクリート「T-e Concrete®」

コンクリートの材料製造に関わるCO2排出量のうち、90%以上がポルトランドセメントの製造時に排出されます。「T-eConcrete®」はセメントの⼀部または全てを産業副産物やカーボンリサイクル製品に置き換えて、CO2の排出削減やCO2収⽀のマイナスを実現します。

コンクリート練混ぜ時にCO2を噴霧・固定化する「T-Carbon Mixing」

大成建設ではコンクリート練混ぜ時にCO2を直接噴霧し、鉄筋の防食に欠かせないアルカリ性を維持した上で約10kg/m3のCO2を固定化する技術「T-Carbon Mixing」を開発しました。
本技術をT-eConcrete®に適用すると、CO2排出量の更なる削減が可能となります。

CO2を固定化した木質材料の利用

木材の利用促進はCO2の固定化による地球温暖化抑制につながります。また木質空間は健全な心身の維持に寄与します。成長過程で大気中のCO2を吸収・固定する木材や集成材などの木質材料を利用した木質化建築を推進しています。

Ⅱ. ゼロカーボン・コンストラクション 施工フェーズにおけるCO2削減

環境負荷低減活動 TSA:TAISEI Sustainable Action®の取り組み

大成建設グループは、グループ環境目標達成のためにグループ全社員が参加する環境負荷低減活動TSA:TAISEI Sustainable Action®に取り組んでいます。

仮設事務所でのZEB Ready 認証取得

建設現場の先進的な取り組みとして仮設事務所の断熱性能の向上、高効率な空調衛生設備やLED照明などの汎用的な省エネ技術を積極的に導入し、ZEB化を実現しています。

建設現場のCO2排出量計測・集計システム

建設現場に設置したカメラとAIの画像認識機能の活用、電気使用量や電子マニュフェストなどの外部システム情報、燃料購入などの社内システム情報から作業所におけるスコープ1・2を効率的に集計・把握し、見える化する、「建設現場のCO2排出量計測・集計システム」の開発・運用を進めており、2023年度より国内の全作業所に展開しています。

Ⅲ.ゼロカーボン・オペレーション
運用フェーズにおけるCO2削減:大成建設がZEBをトータルマネジメント

運用時のエネルギーサポートサービス(ESS)

引渡したZEB 建物から運用データを取得し、改善提案などをエネルギーレポートとして発行します。また、建物オーナーが管理会社に対して、改善の依頼などを行うことで更なる省エネを実現することが可能となります。

  • ZEBとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間一次エネルギー収支をゼロにすることを目指した建物です。
新築ZEB

大成建設では、都市部の狭い敷地でも、日照条件にかかわらず建物単体で年間エネルギー収支をゼロとする「都市型ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)」を定義し、2014年に技術センター(横浜市)に「ZEB実証棟」を新設しました。その後大成建設グループは、これまでオフィスビル、公共研究施設、リニューアル等豊富な実績とノウハウを積み重ねてきました。環境配慮や不動産価値の向上につながるソリューションとしてお客様に提案を行うことにより、様々な施設におけるZEBの普及・展開に取り組んでいます。

グリーン・リニューアルZEB

我が国において、オフィスや住宅などの建物からのCO2排出量は、全CO2排出量の約3分の1を占めると推計されています。
1年間に新築される建物の延床面積は建物全体の約1%に過ぎません。そのためカーボンニュートラル実現に向けた施策として、既存建築物を環境負荷の少ない建築物に改修することは必須となります。大成建設グループは、既存建物のZEB化「グリーン・リニューアルZEB」を積極的に推進していきます。

ZEF(ゼフ)

大成建設は、従来ZEB評価対象外であった工場内の生産エリアにおける空調・換気・照明・給湯・昇降機等を評価対象に加えて、工場内で消費されるエネルギーを適正に評価し、省エネ・創エネによって生産工場に必要な年間の一次エネルギー収支をゼロにすることを目指した工場、「ZEF」(Net Zero Energy Factory)を定義しました。今後「グリーンZEF®」として、ZEFの適用推進や脱炭素化の取り組みの普及展開を図っていきます。

ZEH(ゼッチ)

コンクリート住宅を展開する大成建設ハウジングでは、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)の推進に取り組んでいます。災害に強く耐久性に優れたプレキャストコンクリート工法を採用した住宅「Palcon(パルコン)」の安全・快適な住空間にさらにZEH仕様による環境にも家計にも優しい住まいを提供します。

ZEH-M(ゼッチマンション)

集合住宅建設事業を展開する大成ユーレックでは、ZEH-M(ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)を推進しています。また、不動産事業を展開する大成有楽不動産では、マンションにおけるZEH化に取り組んでいます。大成有楽不動産が発注者となり、大成ユーレックが施工者となるなどグループ会社での連携にも取り組んでいます。

脱炭素化を実現する先進技術

自社グループ保有再生可能エネルギー電源

大成建設グループは、グループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」の達成に向けて、2030年度までに自社グループの電力消費量を賄うことを目的として再生可能エネルギー電源保有を進めています。また、スコープ2のゼロエミッション化にあたっては、自社保有電源から生み出される環境価値(非化石価値)を活用していきます。

自社グループ保有再生可能エネルギー電源
CEMSによる需給双方向のエネルギーの最適化

CEMSとは、Community Energy Management Systemの略で地域全体のエネルギーを管理するシステムです。エネルギーセンターと各需要家をITで連結し、街区のエネルギーを最適化するシステムです。
新さっぽろ駅周辺地区I街区において、エネルギー事業者とCEMSの共同開発を行いました。供給側と需要側の知見を併せ、需給双方向のエネルギー最適化を目指す取り組みを実施しています。需要予測や効率が悪化した場合の要因分析について、統計的AIを活用しています。これにより、エネルギーの「見える化」「分かる化」「最適化」を実現します。

CEMSの画面例
新さっぽろ駅周辺地区I街区
工場のP2Gシステムによる脱炭素化

P2Gシステムとは、Power to Gasの略で再生可能エネルギーの余剰電力を水素ガスにして利用することでカーボンニュートラル化を図るシステムです。山梨県が民間企業と開発を進めている「小規模パッケージ化したP2Gシステム」を大成ユーレック川越工場へ導入しました。工場内に設置した太陽光発電の電力で製造したグリーン水素を水素ボイラーで燃焼させ、そこで得られた熱を建設用コンクリート部材となるプレキャストコンクリート板の製造における養生工程に利用することにより、当該工場の脱炭素化を図っています。工場内の太陽光発電の電力は、自家消費以上の電力を発電した場合でも、出力抑制することなく使い切ることができるよう、大成建設グループの他拠点に自己託送しています。

CCS(CO2回収貯留技術)

発電所、製鉄所、セメント工場などから排出されるCO2の地下深部への安全な貯蔵技術を開発しています。

カーボンリサイクルCO2地熱発電技術

地熱により高温状態となった地中層にCO2を圧入回収することで熱水資源に頼らない画期的な地熱発電技術を開発しています。

浮体式洋上風力技術

風力発電における正確な発電量の予測のためのシミュレーション技術やコンクリート製浮体基礎技術を開発しています。

水素利活用技術

再エネ由来の水素の製造から貯蔵、輸送、供給、利用までの水素サプライチェーンを構築する実証事業に参画しています。

データ

環境データ

サステナビリティ

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